Q 今作はどんな場面に合うと思いますか。
朝昼晩御飯を作りながら食べながら 洗濯もの片付けながら 洗い物しながら 酒を呑みながら 寝ながら ピロートークしながら 読書しながら 踊りながら などなど多方面オススメです。
タイトルのSlow dance は大都会のクラブでロックやテクノが爆音で流れて激しく揺さぶる、、というのと対極にある情景、「揺蕩う」というかチークダンスみたいなイメージで付けました。
これがレゲエかと云われると、リズムは意識してるけどさほど強くない気がするし、ジャズかと云われると多彩なコードや複雑なリズムとは程遠いと思います。
Suburbia は自分が、東京ではあるが郊外の地味~な団地とかに住んでたので、そういう音楽メインストリート·ストリームでない場所にもこういう音楽が流れてて寛いで欲しいな、という意味合いです。
キャッチコピーとしては、
「ベースが大きいイージーリスニング」でしょうか。
Q 録音とミックスの経緯は
数年前、鍵盤の星野君とツイッター上で、new zion trio みたいなセッションやりませんか と軽く手合わせして、それっきりだったのですが。 自宅でドラムとベースリフも生音で録音するようになってから、改めて星野君と今回作品のファイルやり取りが始まりました。 いくつか試してもらううちに管楽器やギターもトラックに欲しいなと思い、堀君·ユウスケ君にも参加をお願いしました。
以前に知り合いを通じて一度セッションしただけの間柄だったのですが、堀君はSly & Robbie meets nils petter molvaer とか好きだったり。ユウスケ君はTAMTAM 以外にもレゲエ·ダブの見識が広かったりで、すぐに興味持ってくれたのは嬉しかったです。
トランペットとフェンダーローズは阿佐ヶ谷のスタジオzotで録音しました。
#各トラックについて
❬This a this a barber、 this a dub ❭
のんびり牧歌的、童謡的に緩やかなセッションをして欲しいと二人に伝えて、まさにそんな感じの仕上がり。レゲエらしさを意識して裏打ちカッティングとか多用しないでもOKというのも伝えたかな。
レゲエに於ける別バージョンdub、と云うと同じトラックから音数を減らす→過激にエフェクト効果を増やす、のが通例です。しかしこの二曲はどちらも編集中捨てがたく、各楽器のミックスを微妙に変えて両方アルバム収録しました。 ジャズアルバムに於ける「オルタナテイク」ですかね。
Barber はトランペットとローズのテイク1、2を入れ換えてみて凄く良かったので採用w
タイトルは昔聞いたレゲエdj の一節で、こんな感じの発音があったのを思い出して付けました。
this a dub はテイク4をほぼ丸ごと使ってます。 堀君星野君はスタジオで初顔合わせでしたが、ジャズやってる演者は呼吸を掴むと短時間でこうも見事に纏めるのかと感心しました。 星野ソロからの最後二人の掛け合い 何度聞いても泣く。
❬心せわしき人かな❭
ドラムとベーストラックをユウスケ君に丸投げして、ギターフレーズを色々考えてもらいました。
返ってきた仮ミックスを聴いて家人と即「ハワイ行きたい」と言ったのを覚えてます。 ギター音色の打ち出しはほぼそのまま、ユウスケ君雰囲気の作り方が上手いですね。
引き算と強ディレイのみ私がやりましたw。
タイトルは『一夢庵風流記』の一節からいただきました。去年末、収録曲どうしようーって若干慌てながらユウスケ君をせっついた自分の事です。
❬Average joe on the couch 、Drive in special ❭
既にあった鍵盤トラックをガイドにスタジオでトランペット合わせてもらいました。 星野君は彼の中で「最高のサウンドが出せてない」といってjoeの鍵盤テイクは納得いってないそうなんですが、私が最初の印象で好き過ぎて強引に押しきってる形です。 ピアノ音色の優しい導入からトランペットがリフぽい切り込みで盛り上げる、なんじゃこの格好いい組み合わせは!! てミックスの初期から涙がどどーと出てました。 今家で聞いてても時々泣いてます。 タイトルはロッキングチェアで寛いでるオジサンのイメージから。
Drive in special は星野君メインで纏めて一瞬だけトランペットを出してます。 70sインストダブだと、大半のフレーズがミュートされてて一瞬だけアドリヴ一節が飛び出してグッと来る!みたいなことがあるんです。 ドライヴインシアターって行ったことないけど、そういうところに音響が広がるといいなぁ、、リヴァーブ強め。
タイトルはAugustus Pablo 「park lane special」のもじり。
❬一寸御免❭
ドラムのアイデアはPrince Lincoln「true experience 」とDennis Brown 「repatriation」の折衷案ですね。ベースがテーマフレーズみたいで小難しくなってしまった。メロディカはコード的に合ってるのかわかりませんがw 勢いで5テイクぐらい録ったはず。
時折レゲエトラックには恐れを知らない「なんでこんな調子っ外れアドリヴが入ってるの?!」つう演奏が散見されますが、私のもその一つかも(汗。。。
腕ききのソリストには敵いませんが、 御笑納下さい。箸休めに。
昔の鹿児島でこの名の入った焼酎瓶があったそうです。一寸粋でしょ。
❬One day of jackals + safari ride dub ❭
この曲だけ古めで2014ー15年にかけて作った曲の音質調整リミックスです。ドラムの粗い手癖に樹音君が見事に付いてきてくれました。 フジモトさんの音圧強めギターを更にダブミックスしてニューウェーブ風になったと思います。小さめ音量で聞くのも妖しげな感覚があって良いですよ。
Q ドラムとベースの音圧は高めですが、マスター音量は小さめです。
リミッターやマキシマイザーで簡易マスタリングしてますが、音割れの粗が目立つかなり前の数値で留めてます。 急造のライン録りが多く、Okしたテイクにもよく聴いたらノイズがあったりで大変かもなとは思ってました、、。でも元々編集の暴力でミュートかけたり音域変えたりもダブミックスの面白さです。開き直って作業を楽しみました。
特に堀くんのトランペットがダイナミックレンジ広く、聞こえかたの数値でいうと10、20の微細な感じから ~90くらいまでの大音量感まで表情豊かで、それを活かしたかったところからミックスを考え直してます。
ディレイで飛ばしたりする以外は、他の楽器の聞こえかたは平均して40~70、80位で良いかなぁと。
ドラムとベースはeq調整でバッサリ切ってコンプを強く、ラウド寄りにしてます。生音ジャズの綺麗さは無いですw
70'sスタジオワン、のベースラインは凄く大きいけどキックは埋もれててあんまり聞こえないレゲエw とか。ベーシックチャンネル、のそもそもキック打ち込みが全然入ってないミニマルトラックとか。そういう色んな低音価値観を体験してたので、自分のこの左肩上がりのミックスも万人受けしないだろうけど、まぁいっか と。好みを押しきったしだいです。
昔も今もサックスやトランペット奏者などのジャズアルバムは、リーダー自身の楽器ばかり音量音圧が強くて 小さい音量でCDをかけてるとベースや鍵盤が全然聞こえない、みたいな事案が結構多いです。
今回のアルバムはそれは絶対避けたかった。少々下手かろうが荒かろうが、打も弦も管も鍵も動きがわかるバランスで纏めました。最小音量2、3メモリから全体音像が聴けるはずです。
ローファイ故に私の作品は音抜けが悪いですし、純粋な器楽サウンドを楽しみたい方には不向きでしょうが、こういうエフェクトに特化したアルバムも面白がってもらえれば嬉しいです。
御一読ありがとうございます。